2021年度 立教大学 入試分析

   

2021.2に立教大学を受けた人への結果分析と、2022年の立教合格を目指すあなたに、現時点で提供できる分析を提供する。同時に自分のための備忘録でもある。

 

目次
1. 2021入試のデータ分析とわかること
 1-1. 2021立教併願受験推奨学科とその結果【オフィス藤原予測】 
 1-2. 2021立教入試のまとめと次年度への予測

2. 2022立教合格を目指す受験生へ伝えたい、正しい戦略

3. まとめ

  

1,2021入試のデータ分析(志願者数、難易度予測)とわかること

 2021から、立教大学は一般入試のシステムを大きく変更した。2020までは、通常の3教科入試であり、全学部日程と個別日程で、同じ学部学科を二回受験可能なシステムであった。2021からの変更点は主に二つである。1つは、英語の得点を4技能系の外部試験のスコアか、共通テストの英語スコアにしたことである。もう一つは、受験日程を大きく変え、同じ学部学科で最大5回(文学部以外は4回)受験できるようにしたことである。

 二つ目の入試日程の変化の影響はかなり大きいだろうと事前に予測していた。一昔前、各大学が全学部日程を始めだした時、入試日程が複数になり、募集人員が分散されたため、難化した。ここから考えれば、立教の入試日程の複線化は、難化につながるだろうことは間違いないと予測していた。

 2021の志願者数は確定しているので、その数字で前年と比較する。大学HPによると、2020の一般入試志願者数は、全学部3教科方式(7,311)と全学部グローバル方式(964)と個別(31,542)で、合計で39,817であった。2021の志願者数は44,099で確定しており、前年比10.8%の増加になった。これは、想定していた難化ではあるが、程度は軽い。他大学が軒並み受験生を減らしている中で、この受験システムの変更は、プライドを捨てて実利(受験料)を取った改革だと捉えられ、ある程度の成功を収めた。

 学部ごとに見ると、以下のようになる。偏差値は私が分析を担当している増田塾基準で、河合塾基準にするなら+2してもらえればよい。

2020志願者        2021志願者        前年比       2020増田偏差            予測2021偏差値

文学部                 6,498                  9,269                   143%                60.5                          61~61.5

異文化コミュ       1,141                   1,964                 172%                63.5                           66

経済                     5,985                   5,407                   90%                    59                   58.5

経営                     3,818                   3,615                   95%                    66                    66

社会                     5,937                   6,408                   108%               62                  62.5

法                        4,281                   5,058                   118%            58.5                         59

観光                     3,376                   3,256                   96%                   59.5                      59.5

コミュ福             2,531                   2,951                   117%                 57.5                            58

現代心理              2,567                   2,704                   105%                  61                    61

理                        3,683                   3,467                   94%                

 

以上からわかることは、外国語・国際に近い学部は難化し、逆に遠い学部は、むしろ易化した。これはそれぞれの学部受験生と外部検定への親和性によるのだろう。立教第一志望の生徒は、積極的に外部検定を受けていったであろうが、昨年度までなら併願していた早慶や国立志望の生徒の一部は、立教のために外検を受けず、ゆえに併願から外れていったのだろう。だから、同じことは上智にも見て取れるはずである。

 とすると、観光も英語外部検定試験との親和性は高いので、難化するはずだが、前年同様の志願者数(前年比96%)であった。これは新型コロナの影響だろう。文学部の倍率はあがるだろうが、過去のデータをみると、案外偏差値はあがっていなかった。

ここで気づいた人もいると思うが、実はもともと、池袋キャンパスの法や経済より、新座キャンパスの観光や現代心理の方が、難易度が高いのだ。新座キャンパスの方が受かりやすい、という幻想は、コミ福に限定されるものである。さらには、上記を学科ごとに見ていくとさらなる分析ができて、併願校として受かりやすさ優先で行くならば、どの学科にすべきかという予測もできる。

☆オフィス藤原予測 2021立教併願受験推奨学科とその結果

推奨学科                          2020志願者         2021志願者         同学部内順位(倍率低い順)

① 文学部        フランス文学科                 457                      559                      2位/8学科

② 文学部        キリスト教学科                 233               277    1位/8学科

③ コミ福祉学部              福祉学科              851                      824                 1位/3学科

④ 法学部          国際ビジネス法学科          661                708             1位/3学科

⑤ 経済学部       会計ファイナンス学科     1085                      965                1位/3学科

※ 同学部内順位とは、同じ学部内の学科で、予測される倍率が低い順である。倍率が低い方が受かりやすくなる。

 以上のように、過去のデータを分析していくと、河合塾やベネッセの予測偏差値が同じでも、もしくはかれらの予測を超えて、受かりやすい学科が分析できる。そして上記のように、2021年度に関してもおよそすべて正解できたし、過去においても同様の予測はできている。それをオフィス藤原に所属する生徒には提供している。併願校やすべり止めを検討するうえでは有用であるのは当然で、合否を分けるポイントはここにもある。

 少し脱線したが、立教2021の分析において、もう一つ怪しい情報がある。大学HPには、日付ごとの志願者速報がのっているのだ。リンクを踏めば大学のpdfに飛ぶが、日付ごとに志願者速報を出す意味があるのだろうか。FAQは見たのだが、私の合理的推論では、立教大学は、どの日程で受けても有利不利のないようにするはずである。つまり、志願者数に応じて、日付ごとに合格者の人数を割合で出していけば、どの日程で受けても大きな有利不利はないはずである。しかし、そうであるならば、なぜ立教大学は、この日付ごとの志願者速報を出しているのだろうか。この点は、次年度に議論を持ち越すが、このシステム初年度であるがゆえに、立教もうまくできず、多少のシステム的不具合(有利不利発生)は、あるかもしれない。

  

☆ 2021立教入試のまとめと次年度への予測

① 全体としては、軽く難化したが、学部ごとに分けて捉えるべき。この外検利用システムは周知されるだろうから、2022年も、全体としては前年同様の難易度、倍率になるだろう(他大の平均は軽い易化を予測しているから)。

激しく難化
文、異文化(国際・外語系)   ⇒2022は軽く易化

軽く難化
法、コミ福  ⇒2022は前年同様

軽く易化
経済 ⇒2022は軽く難化

前年同様
その他の学部  ⇒2022は前年同様

② 学科ごとの難易度、倍率推移は、およそ予測通りであったから、次年度も予測通り動くだろう。

③ 日程による有利不利はないと思われるが、怪しいので大学発表の情報を待つ。

2. 2022立教合格を目指す受験生へ伝えたい、正しい戦略

 まず、2021に激変した立教入試の一般入試システムを確認する。

① 英検、TEAP等の外部検定スコアが、英語の点数として機能する。

② ①は保険であり、共通テストの英語の点数と良い方が採用される。

③ 一般入試当日は、国語と選択科目の二教科入試だが、①②の英語の点数はスコア化される(英語で差がつく)。

 つまり、英語の点数は、試験前に決定していて、その点数によるハンデをもって、国語と選択の二教科入試で合否を判定する。大事なことは、①の外部検定試験は、およそ過去2年さかのぼることができることである。つまり、英検のみならず、二年間でTEAPなど複数の試験を何回も受けて、ベストのスコアで合否を判定する、ということだ。模試の数字が、問題への適性や当日のバイオリズムで上下するように、複数回受けることは、一発勝負に対して果てしなく有利である。

したがって、立教大学を上位志望で考えているならば、今すぐ、英検などの外部検定を、ことば悪くてもよければ「ぼこぼこ」受けるべきである。なぜならば、どの試験が自分に合うのか、わからないからである。準備を十分にしてから受けようと考えている人は、合理的ではない。合理的に考えれば、準備不足でも一回試してみて、そのあと対策を練り、次の試験をまた受けるべきである。もっと言えば、その考えでは次の試験日時の時も後回しにしかねないだろう。そして、多様にある外部利用入試を「ぼこぼこ」、特に時間のある高2時から受けておくべきである。自分に適性のある試験を見極め、その試験をメインに受け続けていくべきだからである。受験勉強で忙しい高3時にそれを始めるよりも、時間のある高2時に見極めておいた方がよい。そして、高2時にいい点が取れたなら、それも使えるのだから。

 そして、外部試験でどの程度のスコアでボーダーラインに到達できるのか、は増田塾生のデータで分析した。私藤原は、増田塾に現代文と小論文講師、生徒面談担当として在籍(2020年度は渋谷と川越校)し、増田塾のデータ分析担当であり、弊社は会社として増田塾と業務提携している(その辺りの自己紹介はこちら)。ほとんどの生徒のデータが英検かTEAPだったが、増田塾生の外部試験スコアから考えると、各学部のボーダーラインは以下のように予測できた。なお、この資料は、増田塾2021受験生全員に、提供したデータである。2022入試までには、一定の基準を立教が出すだろうから、それを待ってほしい。

共通テスト
英語得点率
英検スコア学部ごと
予測ボーダー
増田塾予測
ボーダー偏差値
   
90.0%2425異文化・経営65
88.6%2405 64.5
87.2%2385 64
85.8%2365 63.5
84.4%2345 63
83.0%2325 62.5
82.3%2315社会62.25
81.6%2305 62
80.2%2285 61.5
78.8%2265現代心理61
78.1%225560.75
77.4%2245観光60.5
76.0%2225経済60
75.3%221559.75
70.4%2145コミ福58
54.25%1925平均点46

 増田塾生の共通テストのスコアと増田塾偏差値、そして外部試験のスコアを関連付けて分析したところ、以上のようになった。これは予測値であるが、立教受験に行くべきかどうか、どの学部で勝負すべきかに対する一定の指標をだすために、共通テスト2日後月曜日の朝に増田塾生用に出したものだ。青列の共通テスト英語得点率と緑列の英検スコアが、同列にあれば同程度に扱われるだろうという予測である。予測根拠は、増田塾で双方を受験している生徒のデータによる。立教が実際どう扱うかを考えると、外部試験利用入試を先進的に推し進めてきたのが立教と上智なので、上記よりも外検スコアの方が少し有利になると推理するが、真相は大学の発表を待つしかなく、2021受験生には提供されないだろう。その中で共通テストの自己採点を見て出願を選択しなければならなかったので、増田塾の依頼のもと、上記の分析をした。

 つまり、たとえば異文化か経営学部に行きたいならば、外検スコアで言えば2425程度、共通テストならば90%程度がボーダーラインになりそうだということを、上記の表は意味している。法学部であれば、英検2215点、共通テスト75%程度である。

 したがって、以上で考えればわかってもらえるだろうが、2022に向けた立教入試において今何をすべきか、と問われれば、即答で、英語外部試験を「ぼこぼこ」受けまくれ、となる。費用は掛かってしまうが、そこを理解してもらえるのならば、習うより慣れろ、が有効である。そしてこの行為には、さまざまなプラスの副反応も起きるのだ。

 その上で、一般的な受験勉強をしていくことになるだろう。仮に立教に絞った受験対策をするならば、そしてCEFRのスコアが準備できたならその時点から、英語の学習より地歴や国語の学習がずっと重要になる。もっと言えば、地歴と国語に学習を絞ることも可能になる。立教における英語の得点は、外部検定のスコアで保証されるからだ。しかし、ほとんどの生徒は、他大も併願していくだろうから、以上は現実的な策ではない。

立教の地歴は、やや細かい範囲の出題が多いが、一般的な内容である。したがって、一般的な地歴の学習をしていき、9月ごろに過去問を一回、敵を知り、残りの学習における意識を変えるために試してみて、あとは通史が仕上がった後、11月か12月ごろから過去問中心の学習にしていければ十分である。つまり、立教に合わせて寄せていく学習は、地歴に関してはそれほど必要ないだろう。古文も同様、一般的な出題である。

しかし、現代文は話が違う。関東難関私大で癖の強い問題を作る大学は、学習院⇒上智の順だが、その次は立教である。過去問をこなしてもらえればわかるが、赤本の解答・解説にも納得がいかない問題が出てくるだろう。一般的な問題に終始する問題もあるのだが、様子がおかしい問われ方、選択肢の内容になることがある。多分、作問担当が複数いて、現代文であるがゆえにマニュアルで一般化しきれないのだろう。言い換えれば、偏った考えの作問担当が複数いることは間違いない。

 そのような立教現代文への対策は、ひたすらなれることである。最新年度の赤本は、なぜか全学部と文学部のものしかなかったが、立教大学はもともと、学部や日程による入試問題の差はなく全日程同様に作っている、と大学が言っていた。ならば、過去問は山のようにある。2019年までは、文系で6日程あったから、赤本さえ手に入れば、問題演習は相当な量をこなすことができる。特殊な相手に対応するために確実に有効な手段は、「慣れ」である。

  

  

☆ 2022の立教大学合格を目指す受験生へ のまとめ

① とにかく、まずは立教で使える外部試験を「ぼこぼこ」受けて、自分に向く試験を見極めよ!

② 見極めた外部試験を受け続け、高得点を目指していく。複数受けたほうが有利だから、CBTなども試していこう。

③ 英語で合格ラインを取れたら、選択と国語に学習を傾けていく。特に苦手科目の対策を。

④ 地歴、古文は一般的な問題で学力通りになるだろう。

⑤ 現代文は慣れを重視。英語と選択、古文のめどが立ってきたら、過去問演習の数をこなそう。

 以上が全体に言える内容だが、各自の状況や性格、学力状況によって、「正しい学習方針」は細分化される。つまりは、その人その人によってアレンジが必要なものである。弊社オフィス藤原ではそういったサービスもあるので、よかったら検討してほしい。

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    難関私大文系予備校「増田塾」の元教務部長。 現在はオフィス藤原を運営しつつ、増田塾に現代文・小論文講師として出講している。