石丸伸二

 昨日都知事選が終わった。自分の予想に反して、石丸都知事は誕生しなかった。自分の見識の甘さを実感するとともに、気づいたことと語りたいことができたので、今日も書いてみる。
 今日の夕方からは野球の試合だったので、帰ってきてご飯とお酒をいただきながら、YouTubeをみている。

 自分の目にとまった動画は↓だ。

 この動画をみて私に訪れたのは、シンパシーであり、共感である。

 動画内の石丸さんを見ていると、心配になるくらいコメンテーターとぶつかっている。丸く収めた方がいいシーン(損得勘定上)に見えるのに、感じ悪くなるようにぶつかっている。質問をするコメンテーターの方が、びびって気をつかっている。何も悪いことではないが。

 もちろん、コメンテーターの質問が悪いし、悪意もあったのかもしれない。しかし、それを差し引いても、無駄に敵意と対立を煽っているように見えてしまう。マスコミの理解の無い質問に、最低限の誠意と姿勢は保ちつつも、苛立ち、過剰に攻撃的に応答する姿勢に、何か、今まで見えていなかった奥底が見えた気がした。

 そして自分はその点に、自分の認識が甘いのかもしれないが、シンパシーを感じた。そして同時に心配になった。なぜならば、おこがましいかもしれないが、そして我田引水なのかもしれないが、自分の生きざまに重なるからだ。そしてそれを、自分は全肯定していないからだ。

 社会や組織の中で生きていく上で、無駄に軋轢をうまないようにすることは大切なことだと、今は思っている。自分をある程度知っている人ならわかるように、自分はそう生きて来ることができなかった。でも、自分の人生を振り返った時に、無駄に疲れ、うまくいかない生き方だったな、と思っているわけだ。といいつつも、今後も今まで同様に、軋轢に突撃して生きてしまうのかもしれないが。

 石丸さんの生きざまも、プレゼンテーションの仕方も、尊敬している。自分には貫き切れていないレベルに、己の中の正しさを貫き、決して相手に譲らない姿勢を感じる。しかしそれは、社会の中におけるしあわせ多き生ではないのではないかと思っている。
 これは自分が過剰に感じるだけなのかもしれないが、人に嫌われることも、disられることも、大きなダメージを受け取るものだと思う。自分は、そのリスク、軋轢発生を認識、予測しつつ、それでも貫くべきだと、ゆずってはならないと考えて、もしくはそう生きざるを得ないから、ダメージを受け取ってきた。
 自分は、およそ組織と言われるところで、アンチが現われなかったことはない。アンチというのは、力のある物に対する表現である気もするので言い換えれば、今まで属した社会や組織のおよそすべてにおいて、自分は疎外されたり、攻撃されたりしてきた。もちろんそれは、自分に原因があるのであり、もしくは、そうなることを覚悟の上でやってきたことだ。
 だから、この塾の講師の仕事を選んで、己を磨いてきた。この世界は、生徒の成績、生徒の評価、親の評価、という3点をすべて抑えれば、負けないからだ。なんとなくの日本的な集団圧力に対抗できるからだ。そうして、自分を磨いてきたら、どの世界でも自分を認めてくれる人がいて、ここまでやってこれた。この間も、大分昔の仕事の同僚に、

 「フジが思っているよりも、フジのことが嫌いじゃなかった人は多かったと思うよ」

と言われた。とてもうれしい言葉だったが、依然被害妄想が強いのか、自分はそう書き換えられない。

 石丸さんの、過剰にマスコミと対立しようとする姿勢に、自分と同様な性質を感じた。そしてその前提で今までみてきた石丸さんを振り返ると、ますますそう見えてきた。

 先日あった、安芸高田の市長選挙で、石丸さんの方向性に近い候補は落選し、石丸さんが対立していた議員の多くが支援した藤本氏が当選した。これは、4年間の市政の評価として、一つの真実を示すだろう。

 しかし、依然、自分の目には、石丸さんが救世主に見える。たとえ真っ白でなくても、真っ白い、純粋な動機を持った、エゴだけではない、「善人」に見える。自分には到底、到達し得ないような。
 しかしかし同時に、石丸さんの中には、きっと10年後には気づくような、未熟さ、制御できないカオスが存在すると思う。自分自身もそうであるように、そのドス黒いものがあるからこそ、熱意にも強い意志にもなるのだと思う。でも、もしこの見解があっているとすればこの点だけは先輩ずらしていいと思っているのだが、もう少し「賢く」生きて欲しいと思う。目標を達成するために。自分の人生を、少しでもしあわせ多く生きるために。今の情熱と活動を継続していくために。

 以上が、今日言葉にしたかったことで、記録に残しておく。

 あ、今最後に、石丸関連動画で、サワヤンが、とてもいいことをいっていた。孔子の言葉らしい。

「天才は努力する物に勝らず、努力するものは楽しむ物に勝らず。」

 ここからの自分に刺さる言葉だと思った。大切にしていきたい。
 
 

 

難関私大文系予備校「増田塾」の元教務部長。 現在はオフィス藤原を運営しつつ、増田塾に現代文・小論文講師として出講している。