【激励】2022入試に挑む受験生へ―1―

 今週から、毎週一記事ずつ、激励文を作っていこうと思う。続くかわからないが、続けたいと思っている。

 今年の入試もいよいよ勝負の終盤を迎え、たしかにどこまでいけるのか、早慶でも勝負になるのか、GMARCHまでなのか、それすら厳しいのか、それは見えてきた。その意味でどこまでの可能性があるのかの勝負は、夏まででついたのかもしれない。

 しかし、受かる可能性のあるエリアまで来たら、そこから先の勝負は、ここからの4ヵ月半で決まる。4ヵ月半、100日程度だろう。1日1%で、それを毎日積み重ね続けていこう。それしか我々にできることはない。しかし、勝負は本番の試験で力を出せるかどうかで決まる。

 何度も同じことばかり言っているかもしれないが、受験の勝負は、

 学力×本番力 で決まるのだ。学力とは、基礎力×基礎運用力(=応用力、地頭の良さ)である。本番力とは、本番の試験で力を出し切れる集中力であり、習慣の力で補えるものだ。しかし、それ以上にメンタル力が大きいものだ。

 本番の試験の時だけではない。ここから受験までの4ヵ月は、山もあれば谷もあり、まるで映画のように、最後の嵐も来ればラスボスも現れるだろう。

 それでいい。それを乗り越えて、なんとかくぐり抜けてハッピーエンド、そういうものじゃないか。

 ヤクルトスワローズが、奇跡の優勝と日本一に向かって邁進している。開幕前3位までに入ると予想した専門家はほぼいなかった(ヤクルト関係者の義理のみ)。それが今、優勝しようとしている。そこにあるのは偶然ではない。こうなるべく信じて、可能性を見出してそれに邁進したスタッフや選手たちの姿がある。

 しかし、ヤクルトの優勝までの道も平坦ではないだろう。このあと連敗もすれば、誰かのエラーで落とす試合もあろう。チームの雰囲気が悪くなることもあるかもしれない。主要選手が怪我で離脱するかもしれない。

 高津監督の動画があることを知って、先日正座してみた。そこで高津監督は言っていた。自分なりの解釈も加えると以下のようになる。

結局最後、勝負は時の運に任せるべきもの。その中で我々は、人事を尽くして天命を俟つしかない。最後は神に委ねるしかない。しかし、人事、準備を尽くさなければ、必然として負ける。だから、自分にできる課程と可変領域を追求し、不可変領域は神に委ねて諦めて受け容れるべき。だから結果を自分に課すな。課すのは、課程、すなわち準備の追求をしたかどうかである。

 高津監督はさらに、上記とは矛盾する話を最後にした。

そしてもう一つ、絶対大丈夫だから。自分自身とチームメイトをしっかり理解して自分の足下をしっかり見つけてチームで行けば、絶対大丈夫。うちが一枚岩でやっていけば絶対崩れることはない。一枚岩でスクラム組んでやっていこう。絶対大丈夫。もしグラウンドでふと思い出したら、自分で言って欲しい。絶対大丈夫。絶対いけるから。

 

 自分は思った。高津監督の最後の、「絶対大丈夫」が今まで足りなかったな、と。「絶対大丈夫」だなどと無責任なことを言うのは間違っていると思っていた。でも違うと思った。「絶対大丈夫」だと言い続けるから、そうやって弱い自分を激励して奮い立たせて戦い続けるから、大丈夫になるんだな、と。もっと、これから毎回の授業で、面談で、伝えていきたい。「絶対大丈夫。絶対いける。」

 

 本題に戻る。高津監督は、このあとの山も谷も嵐もラスボスも、すべて予定し、覚悟し、それを乗り越えてみせると意思しているように見える。あと24試合。その課程の試合一つ一つを自分は味わい、苦しみも痛みも受け取りつつ、最後の感動のフィナーレまでを楽しみたい。絶対に優勝する。流れ論的にはそうとしか見えない。

 君らも同じだ。ここから受験までの4ヵ月半、一日一日の課程を追求し、そして「絶対大丈夫」「合否は時の運」と覚悟をもって試験に挑めるようになって欲しい。そのためのヒントと激励の言葉を、僕はこの場で提供し続けていきたい。まだ差し出せるものがあった、そう気づいたのだ。僕も、年度の終わりに、結果ではなく課程の充実において、自己満したい。もちろん、過去の実績から考えれば結果においても圧倒できるだろう。しかし、大切なのはそこじゃない。課程において、「ベターを尽くせた」と自分が満足できたかどうか、それが、自分がいい仕事をしたかどうかだろう。

 ギリギリの勝負を決めるのは、本番力であり、メンタルの力である。それは言い換えれば、勝利の哲学でもあり、覚悟でもある。それらを君らに獲得させるために僕にはまだ差し出せることがある。言葉がある。

 というわけで、これから、週に一つ以上、こういうのを作っていこうと思う。

 2021.9.24 藤原 貴浩

難関私大文系予備校「増田塾」の元教務部長。 現在はオフィス藤原を運営しつつ、増田塾に現代文・小論文講師として出講している。