関東難関私大、2021年度入試の変更点について

次年度2021年の私大入試は、かなり大きな変化を迎える。「大学入試共通テスト」が始まり、それに伴って入試のシステムを大幅に見直す大学が出てきた。ここは、それをまずざっくりと解説するページである。大学別の解説(早慶上GMARCH)は、それぞれ別にページを作っていくので、このページを見た後リンクを追ってほしい。

目次
1、「大学入試共通テスト」とは
2、2021年度入試における各難関私大の対応
3、2020までの私大入試との違い
4、「外部試験利用」について
5、2021の併願、受験プランはどうなるか
6、結論

1、「大学入試共通テスト」とは
 現行の「センター試験」の名前が変更され、次年度2021.1から、「大学入試共通テスト」(以下「共通テスト」)が実施される。内容、出題の仕方に変化はあるが、テストの意義、扱われ方は変わらない。ざっくりと言えば、「センター試験」の名前が変えたもので、ついでに試験の中身も変えてしまおう、というものだ。

「共通テスト」の利用法は、「センター試験」と同様に、以下の3通りである。

①国立大学の1次試験
②私大において「共通テスト」3教科の得点で受験できること(2020までのセンター利用入試)
③一部の私大で、数科目だけ「共通テスト」で受けて、残りの科目を大学独自のテストで受験すること(2020までのセンター併用入試)

この点では、今までの「センター試験」も「共通テスト」も同じである。ただ、テストの中身に大きな変更が加えられる。中身の変更点に関しては、すばらしい記事をみつけたので、そちら(このリンク)を見てほしい。

⇒「大学入試共通テスト」の役割、立ち位置はセンター試験と変わらないが、各科目の内容の見直しが入った(したがって過去問がない)。

2、2021年入試における各難関私大の対応(関東)
そして大切なのは、この「共通テスト」導入で各大学の入試がどのように変わるか、という点だ。実は、世で言われているよりも大きな変化なのである。ざっくりとまとめれば、

早稲田大学→政経、国際教養、スポ科は大きな変化(共通テスト併用へ)。その他の学部は変化わずか。
慶応大学→1ミリも変化なし
上智大学→革命的変化(「共通テスト」+外部試験併用、かつ、中身不明瞭な独自試験 へ)
明治大学→ほぼ変化なし
青山学院大学→大きな変化(「共通テスト」併用へ)
立教大学→大きな変化(英語のみ外部試験or「共通テスト」へ)
中央大学→ほぼ変化なし
法政大学→ほぼ変化なし
学習院大学→少し変化(「共通テスト」利用入試導入へ)

以上のようになる。関東難関私大(早慶上智GMARCH)では、上智、青学、立教が大きな変化をし、早稲田は3学部のみ大きな変化、他は前年同様である。したがって、上智、青学、立教、早稲田の3学部を第一志望に据える生徒にとっては、今までとは違った戦略が必要になる。

「共通テスト」併用になる「上智、青学、立教、早稲田の3学部」は2021年度入試からガラッと変わる。
⇒これ以外の関東難関私大(慶応、明治、中央、法政、早稲田3学部以外)は、今までの入試と変わらない。
この変化で、受験勉強、併願戦略は大きく変化せざるを得ない

3、2020までの私大入試との違い
 今までは、大学間の併願に、大きな問題はなかった。大学入試の勉強は、志望する大学が違くても、70%は同じ内容の学習で対応できていたからだ。
 しかし、2021年度からは異なる。私大の問題と「共通テスト」の問題が似通ったものであれば志望大学がどこでも勉強は同様になるが、「共通テスト」の問題は私大の問題と違いが大きいものになってしまうだろう。だから、「共通テスト」を根差した勉強とそれ以外の私大受験用の勉強のどちらかを選択せざるを得ない。余裕があれば両方やるのはよいとしても、どちらがメインなのかは決めざるを得ない。
 「センター試験」でさえ、私大の問題とはかなり相違があるものだった。地歴で言えば、要求される知識のレベルが、私大の方が多くて深い。逆に「センター試験」は、穴埋めの知識ではなく、知識の流れ(=因果関係や関連性)を問う。「センター試験」は、要求される知識量は少ないものだが問われる角度が違うのだ。そしてさらに、「共通テスト」化によって、その差は開いていく。だから、「共通テスト」を目指して勉強することと、「共通テスト」ベースではない私大を目指して勉強することは大分違うのだ。 
 また、「共通テスト」の英語は、リスニング50%リーディング50%である。したがって上智、青学、立教、早稲田の3学部を受験するうえでは、リスニングが必須だが、その他の難関私大受験には、リスニングが必要ない。リスニングとリーディングが五分五分の試験と、リーディング100%の試験では、求められる能力が全く違う。この点でも差は大きく、この英語の差は国語地歴の差よりずっと大きなものになる。
 そしてここにさらに、「外部試験利用」というものが加わり、ますます複雑になるが、それは次項で語る。

⇒「共通テスト」と各私大の独自問題は差が大きい。
⇒特に英語は、リスニングの有無で差がかなり大きい。
⇒したがって、両天秤で学習を進めるのは、今までよりも難しい。

4、外部試験利用について
今までも、私大の一部の学部は、英検などの外部試験の結果を利用した受験方式を用意してきた。

 たとえば、早稲田の文と文化構想には、英語4技能テスト利用型入試というものがあり、英検やTEAPなど、外部試験のスコアの基準を満たさなければ受けられない入試がある。基準を満たすと、3教科の一般入試と同時に、4技能テスト利用型でも受験することができる(3教科型と併願することも可能)。ボーダー偏差値で見ると4技能型の方が1程度やさしくなり、倍率では4技能型の方が半分程度になる。しかも、併願可能なので、当日の英語も受験し、3教科型と4技能型の両方で受験することもできる。当日の英語のできがよければ3教科型で合格するだろうし、英語のできが悪ければ、4技能型(国語と選択科目の2教科判定)で合格することもできるものだ。
 もう一つの例として、2020早稲田国際教養をあげる。国際教養は、英検2級を持っていると+5点、準一級を持っていると+10点、英検1級を持っていると+15点という加点方式を取っていた。早稲田国際教養を受験する人の平均値は+10点程度だろうから、まったく英検を持っていない状態で入試をすると、3教科で10点分多くとらないと合格できないことになる。そして、早稲田の問題で3教科350点満点の入試ならば取り返すこともできるだろうが、センター利用や青学のような”簡単きっちり”要求の問題では、そのハンデが重たくのしかかってくる。ここが2021年度に関わるポイントである。

詳細は、大学ごとのページで解説するが、ざっくりまとめれば、上智と立教をメインで受験するならば、外部試験を積極的に利用して、加点or英語の得点 を獲得すべきである。その方が合格に近くなるし、まったく外部試験スコアを使わない、上智、立教入試は厳しいものになるだろう。

⇒2021から拡大する「外部試験利用」は積極的に活用すべき。まずは↓リンクから、各大学のページに飛んで確認してほしい。

5、2021の併願、受験プランはどうなるか
 以上の1~3によって、上智、青学、早稲田3学部を第一志望で受験する生徒は、「共通テスト」メインに学習することになろう。立教を第一志望とする生徒も、英語の学習は「共通テスト」に寄せていくことになる。そして、その路線では、早慶、明治中央法政学習院の入試問題に対応できなくなってしまう。つまり、今までよりも、大学間の併願の壁が高くなるのだ。ざっくり言えば、2020までの国立と私立の併願と同じくらい、「共通テスト」ベースの入試を実施する大学と、大学独自の試験で入試をする大学の差ができてしまうのだ。
 
 したがって、併願しやすい、上智ー青学ー早稲田3学部 間は、併願する生徒が増えるだろう。上智、青学志望者は、他のGMCHよりは、立教も併願しやすいだろう。同様に、明治ー中央ー法政 間の併願も増えるだろう。というよりも、明治ー中央ー法政を第一志望とする生徒にとって、上智、青学、立教はかなりハードルが高くなってしまう

⇒2021年度入試は、「共通テスト」ベースの受験パターンと、非「共通テスト」ベースの受験パターンに分かれやすくなる。

6、結論
関東のSKJGMARCHは、2021年度入試において、以下の二つに分類される。

☆「共通テスト」ベースの入試を行う大学 →上智、青学、立教(英語のみ)、早稲田政経、国教、スポ科
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー壁ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
○今まで通り大学独自の試験で入試を行う大学 →慶応、明治、中央、法政、学習院、早稲田(↑の3学部以外)

 以上の☆と○で、学習内容、計画が分かれることになり、☆の中での併願、○の中での併願が活発になり、☆と○をまたがる併願が難しくなり、その壁をまたがる受験生が減る。また、学習内容、問題の要求がかなり異なるがゆえに、9月か10月には、どちらをメインで行くか決めなければならなくなるということである。各科目の基礎(=一般的な学習)が済むところまでは、志望校が別でも、学習は同様になるだろう。基礎が仕上がった後の学習において、上の☆と○の2グループのどちらを選択するかで、学習内容は大きく変わる
 したがって、およそ9,10月には(基礎が仕上がるべき時期)、選択をしなければならなくなるだろう。☆中心に行くのか、それとも〇中心に行くのか、である。また、☆コースの場合、外部試験利用が重要である可能性が高い。したがって、年度序盤から、準備してテストを受けていくべきである。何回受けてもいいシステムなのだから。

難関私大文系予備校「増田塾」の元教務部長。 現在はオフィス藤原を運営しつつ、増田塾に現代文・小論文講師として出講している。